目黒雅叙園で開催されている、「アートイルミネーション 和のあかり×百段階段」に行ってきました。
百段階段といえば、千と千尋の神隠しの湯屋のモデルとなったことでも有名ですが、東京都の有形文化財に指定されている建築物です。
昭和10年に建てられた木造建築というので、築80年は超えている計算になりますね。
この階段に沿って7つのお部屋があります。
いずれも趣向の異なる豪華絢爛なお部屋。金箔、金泥などを贅沢に使い、天井にまでびっしりと絵が描かれています。
そんな、昭和の豪勢な建築物である百段階段ですが、普段は非公開。
なにかのイベントが行われるときに、公開されるのですが、撮影は禁止なのです。
今回の「アートイルミネーション 和のあかり×百段階段」は、なんと、その禁止されている撮影がOKなのです。
数あるイベントの中でも、撮影OKなのはこのイベントのみ。
1年に1度のことなのです。
これは特筆すべき点です。
百段階段に興味のある方は、ぜひ、この機会に!
目黒雅叙園は、目黒駅から徒歩3~4分。
では、行ってみましょう!
行人坂という坂を下っていきます。お天気のよい日は、富士山が見える坂なのですよ。
今日は、お天気はよかったのですが、雲もあり、見えませんでした。
これが目黒雅叙園です。
近代的なすっきりした建物で、百段階段はいったいどこに?と不思議に思ってしまいました。
これこれ、これが今日の目的です。
今日は、休日、しかもお盆休みということもあるのか、大変な混雑でした。
私は、前売り券を購入していなかったので、当日券売り場に並びましたが、10人近く並んでいました。
8/12と8/13の二日間は、島根の石見神楽と青森のねぷた囃子のパフォーマンスがあり、私が行った時間はちょうど、そのパフォーマンスが終わったところでした。
パフォーマンスを見学していた人たちがどっと百段階段に向かったので、それはもう大混雑。
百段階段に向かうエレベーターは超満員でした。
エレベーターに向かうまでに、金魚のあかりが。
たくさんいる金魚の中には、ちゅ~ってキスしている金魚がいたりして、かわいい。
私には、この金魚の顔が、モンスターボールに見えて仕方ありませんでしたが(笑)
金魚のあかりを見ながらゆっくりゆっくり進んでいくと、エレベーターが見えてきました。
エレベーターまで豪華ですよ。
エレベーターの中もこのとおり。
そして、百段階段のある3Fに到着し、エレベーターのドアが開くと、目の前にはこの色とりどりの空間が。
これは、線香花火をイメージしているみたい。
和のあかりの出展者「筒井時正玩具花火製造所」と雅叙園のコラボで「竜宮城の線香花火」という商品も売っていました。
夏の東京土産にもぴったりですね。
線香花火がこんな風に展示されていたりして。
立派なアートですよね。
さあ、ここからがメインの百段階段になります。
なんと、階段には、一段ごとに数字がふってあります。
100段まであるのでしょうか?
まず、はじめに登場したのが、「十畝(じっぽ)の間」。
なぜ十畝の間かというと、天井画を描いているのが荒木十畝という明治時代の日本画家だからのようです。
こちらでは、越前和紙のあかりが展示されていました。
人が多く撮影できず。。。天井のみ。
次は、よく写真などで見ることが多い、「漁樵の間」。
この室内は、すべて潤金箔、純金泥、純金砂子で装飾されているほんとうに贅沢な造りになっています。
至るところが絵画や彫刻、とにかく息つく隙間がないくらいの、豪華絢爛さ。
今回のイベントでは、ねぷたが展示されていました。
ちょっと人が多過ぎて、全然撮れませんでした(涙)
撮れたのは、お部屋の上部のみ。
そしてその次は、「草丘の間」
「漁樵の間」に比べると、ややすっきりとしている印象です。
「清水の間」
ここは、橋本清水という画家の絵が描かれているからのよう。
こちらも比較的穏やかな和の空間です。
ここでは、百鬼夜行の世界が展開されていました。
「星光の間」
こちらも同じく、板倉星光の絵が天井画として描かれているからですね。
ここでは、いろいろな植物を使った自然のあかりが展示されていました。
「清方の間」
やはりこちらも、鏑木清方という美人画の大家が造ったとのこと。
四季折々の美人画が描かれていました。
こちらで展示されていたのは、石見神楽。
やはり人が多く、お部屋の上部しか撮れませんでした。
そして、ついに百段階段も終わり。
100段ではなく99段でした。
なぜ99段かというと。。。。
単に、縁起担ぎのようです。
昔から奇数は縁起が良いと言われているから、という説と、百や千などの区切りのよい数よりも発展性のある数に、という説があるみたいですよ。
99段を上がったところには、なぜか、お風呂がありました(笑)
そういえば、百段階段は、階段に沿うようにして先に紹介してきた7つのお部屋がありますが、
このお部屋は、昭和の当時は宴会場としてにぎわっていたそうで、共同浴場もある、宿泊可能な建物だったのです。
ちなみにここは、日本初の結婚式場ともいわれています。
きっと昔は、とても華やかな場だったのでしょうね。
お風呂の隣には、「頂上の間」があります。
こちらは、なんだか爽やかな空間でした。
99段を上りきり、お疲れの方が多いのか、みなさん椅子に座り休まれていましたよ。
それを見越してか、このお部屋だけ椅子が並んでいました。
それぞれのお部屋の装飾は言うまでもないのですが、百段階段の階段部分も趣向が凝らしてあります。
天井はこんな感じで、様々な絵が描かれています。
窓のデザインも、いかにも昭和!(もしかしたらもっと前かもしれませんが)
そして、こんな照明も。
また、あまりの混雑で、どのお部屋に飾ってあったのかをすっかり忘れてしまったのですが、着物をリメイクしたドレスが飾ってありました。
この黒、来てみたいなあ。
ちょっと素敵じゃないですか?
実は、私は、ひょんなことから雅叙園に泊まったことがあります。
といっても、今の雅叙園ではありません。
平成2年のことです。。。今から26年前。
今のような建物になったのが平成3年(1991年)。
大改装が行われたのだそうです。
太宰治の小説にも登場するそれまでの建物は「昭和の竜宮城」と呼ばれていたそうなのですが、その建物に泊まったわけです。
いたるところが「漁樵の間」のようだったのを覚えています。
とても不思議な空間でした。
この古い装飾がちょっと隠微な、なんとも怪しくなまめかしいものに思えました。
私の実家のあるところは江戸時代の宿場町なのですが、赤線廃止になるまで遊郭が並んでいる一角がありました。
幼いころはまだ、空き家になった遊郭の建物が残っていて、友達と数人で忍び込んだりしていました。
まさにその建物の雰囲気と同じでした。
戦前の世界にタイムスリップしてしまうかのような。
子どものころ、私は唇の真ん中に一本、シワがあったのですが、それは歓待紋とかいうらしくて、
「そんな唇してると、昔だったら女郎に売られてたもんだよ」
なんて、祖母に言われたことも思い出しました。
歳をとったら一本だけじゃなくなってしまったけれど(笑)
芋づる式にいろいろな記憶がよみがえった一日でした。
こういう古いものを見て、なんだかわからないけれど、胸の奥をぎゅっとつままれるような懐かしい気持ちになるのは、DNAの中にこういう時代の記憶が入っているからなのかしら。
そうそう、百段階段を歩く人々の中に、浴衣姿の女性がとても多かったのです。
それもそのはず、「お食事つき浴衣プラン」というコースがあるのです。
このコースは、
「浴衣の着付け+中華料理or料亭でのお食事+百段階段見学+ライトアップされた滝前での線香花火体験」
がセットになっています。
着付けしてもらった浴衣は持ち帰れるのです。
ランチは12,500円。
ディナーは16,000円。
ちょっと高価にも思えますが、浴衣を買うと考えたら良心的なお値段かもしれません。
たぶん、来年も開催されると思うので、来年はこのコースで行ってみたいです。
「アートイルミネーション 和のあかり×百段階段」は8/28日まで開催されています。
ゆっくり見学したい方は、お盆休みが過ぎた平日がおすすめかもしれません。
東京観光の方にも、ぜひおすすめしたい場所です。
「昭和の竜宮城」の名残を、ぜひ、感じてみてください。